ポニーテールやシニヨン、編み込みなど、髪をきつく結ぶヘアスタイルは、顔周りをすっきりと見せ、活動的で清潔な印象を与えてくれます。しかし、毎日同じヘアスタイルを続けていると、特定の部位の髪が薄くなる「牽引性(けんいんせい)脱毛症」を引き起こす可能性があることをご存知でしょうか。そして、この牽引性脱毛症が特に現れやすいのが「側頭部」や「生え際」なのです。牽引性脱毛症とは、その名の通り、髪が常に強く引っ張られる(牽引される)ことによって、毛根に物理的なダメージが蓄積し、抜け毛が増えたり、髪が生えにくくなったりする脱毛症です。髪の毛一本一本には、毛根を包む「毛包」という組織がありますが、長時間にわたって強い力で引っ張られ続けると、この毛包が変形したり、炎症を起こしたりします。その結果、髪の成長サイクルが乱れ、成長途中の髪が抜けてしまったり、新しい髪が生えてきても細く弱々しいものになったりしてしまうのです。特に、側頭部は、ポニーテールやアップスタイルにする際に、髪を後ろにまとめるために強いテンションがかかりやすい部位です。また、いつも同じ位置で分け目を作っていると、その分け目部分の毛根にも継続的な負担がかかり、分け目が広がって見える原因にもなります。この牽引性脱毛症は、AGAのようにホルモンが原因ではないため、性別や年齢に関わらず誰にでも起こり得ますが、ヘアアレンジをすることが多い女性に特に多く見られます。もし、あなたが毎日髪をきつく結ぶ習慣があり、こめかみや生え際のあたりが薄くなってきたと感じるなら、この牽引性脱毛症を疑ってみる必要があります。幸いなことに、牽引性脱毛症は、その原因が非常に明確です。対策は、原因となっている「引っ張る力」を取り除いてあげること。髪を結ぶ位置を日によって変える、シュシュなどの柔らかい素材のヘアアクセサリーを使う、時には髪を下ろして頭皮を休ませてあげる日を作る、といった工夫で、毛根への負担を軽減することが、症状の改善と予防に繋がります。
女性に多い牽引性脱毛症とは?ヘアスタイルの注意点