皮膚科で女性の薄毛治療を開始したからといって、すべてを医師任せにして良いわけではありません。処方された薬をきちんと使用することはもちろん大切ですが、同時に日々の生活習慣を見直し、改善していくことが、治療効果を高め、より早く健やかな髪を取り戻すための鍵となります。皮膚科医も、薬物療法と並行して生活習慣の改善を指導することが一般的です。では、具体的にどのような点に気をつければ良いのでしょうか。まず、バランスの取れた食事は基本中の基本です。髪の毛は主にケラチンというタンパク質からできています。肉、魚、卵、大豆製品などから良質なタンパク質をしっかり摂取しましょう。また、タンパク質の合成を助け、毛母細胞の分裂を促進する亜鉛(牡蠣、レバー、牛肉など)、頭皮の血行を良くするビタミンE(ナッツ類、アボカドなど)、新陳代謝を活発にするビタミンB群(豚肉、レバー、青魚など)も積極的に摂りたい栄養素です。特に女性に不足しがちな鉄分も、髪の健康には欠かせません。レバーや赤身の肉、ほうれん草などを意識して食べましょう。逆に、脂っこい食事や甘いものの摂りすぎは、皮脂の過剰分泌を招き、頭皮環境を悪化させる可能性があるので注意が必要です。次に、質の高い睡眠を心がけましょう。髪の成長に不可欠な成長ホルモンは、主に夜寝ている間に分泌されます。特に、眠り始めの深いノンレム睡眠時に多く分泌されるため、毎日決まった時間に寝起きし、寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を控えるなどして、ぐっすり眠れる環境を整えることが大切です。ストレスを溜め込まないことも重要です。過度なストレスは自律神経のバランスを崩し、血行不良やホルモンバランスの乱れを引き起こし、薄毛の原因となります。軽い運動をする、趣味の時間を持つ、ゆっくり入浴するなど、自分なりのリラックス方法を見つけ、上手にストレスを発散しましょう。適度な運動は血行促進にもつながり、一石二鳥です。そして、正しいヘアケアも忘れてはいけません。自分の頭皮タイプに合った、洗浄力のマイルドなシャンプーを選び、爪を立てずに指の腹で優しく洗いましょう。すすぎは十分に行い、シャンプー剤が残らないように注意します。洗髪後は、ドライヤーで頭皮を中心に優しく乾かしましょう。