これまで、薄毛対策として期待されるツボ押しについて、様々な角度から解説してきました。血行促進やリラックス効果など、髪の健康にとってプラスとなり得る要素があることは確かです。しかし、ここで改めて強調しておきたいのは、「ツボ押しだけで薄毛が治るわけではない」ということです。残念ながら、ツボ押しは魔法の治療法ではありません。薄毛の原因は非常に多様で、遺伝的要因、男性ホルモンの影響（AGA）、加齢、ストレス、生活習慣の乱れ、栄養不足、特定の疾患など、様々な要因が複雑に絡み合っています。ツボ押しは、これらの原因のうち、血行不良やストレスといった一部の要因に対して、間接的にアプローチできる可能性はありますが、根本的な原因そのものを解決する力は持っていません。例えば、AGAのように明確な原因があり、進行性の脱毛症に対しては、ツボ押しだけで進行を食い止めたり、発毛を促したりすることは困難です。この場合、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった医学的に効果が認められている治療薬の使用を、専門医の診断のもとで検討する必要があります。また、栄養不足が原因であれば、いくらツボを押しても、髪の材料となる栄養素を食事から摂取しなければ意味がありません。したがって、ツボ押しは、あくまで薄毛対策における「補助的なセルフケア」の一つとして位置づけるのが現実的です。過度な期待を抱かず、「やらないよりはやった方が良いかもしれない」「リラックス効果や血行促進には役立つだろう」といった程度の認識で取り組むのが良いでしょう。そして、より効果的な薄毛対策を目指すのであれば、ツボ押しだけに頼るのではなく、他のアプローチと組み合わせて行うことが不可欠です。
