現代社会においてストレスは万病の元と言われますが、薄毛との関係も決して浅くありません。過度な精神的ストレスは、自律神経のバランスを崩し、様々な体の不調を引き起こします。髪の毛もその影響を受ける一つです。ストレスを感じると、体は緊張状態となり、交感神経が優位になります。交感神経が活発になると、血管が収縮し、血圧が上昇します。これにより、頭皮を含む末梢の血行が悪くなり、髪の成長に必要な酸素や栄養素が毛根まで十分に届きにくくなってしまいます。また、自律神経の乱れはホルモンバランスにも影響を与え、皮脂の過剰分泌を招いたり、髪の成長サイクルそのものを乱したりする可能性も指摘されています。円形脱毛症などは、ストレスが発症の引き金の一つと考えられている代表的な例です。このように、ストレスは様々な経路を通じて薄毛の原因となり得るため、ストレスを上手に管理し、自律神経のバランスを整えることが、薄毛対策においても重要になります。そこで役立つのが、リラックス効果を高め、自律神経の調整をサポートするとされるツボ押しです。手や腕には、比較的押しやすく、効果が期待できるツボがいくつかあります。代表的なものとしては、「内関（ないかん）」が挙げられます。手のひら側の手首のしわから指３本分ほど肘側に下がったところ、腕の真ん中にある２本の太い腱の間にあります。内関は、精神的な緊張や不安を和らげ、乗り物酔いや二日酔い、つわりなどにも効果があるとされるツボです。親指の腹で、ゆっくりと息を吐きながら押し、数秒キープして息を吸いながら緩める、という動作を繰り返します。また、手首の小指側、手のひらとの境目あたりにあるくぼみにある「神門（しんもん）」も、精神安定作用が高いとされるツボです。「心の神様が出入りする門」という意味を持ち、イライラや不眠、動悸などを鎮める効果が期待されます。親指で心地よい圧をかけ、ゆっくりと刺激しましょう。これらのツボ押しは、仕事の合間や寝る前など、リラックスしたい時に行うのがおすすめです。深い呼吸を意識しながら行うと、より効果が高まります。ストレスを感じやすい方は、こうしたセルフケアを取り入れ、心身のバランスを整えることを心がけてみてください。
