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前髪の分け目が薄い…それは牽引性脱毛症かも
いつも同じ場所で髪の分け目を作っているあなた。鏡を見た時に、その分け目部分の地肌が以前よりも目立つようになったと感じることはありませんか。それは、女性の前髪の薄毛の原因として意外と多い「牽引性(けんいんせい)脱毛症」のサインかもしれません。牽引性脱毛症とは、髪が長時間にわたって同じ方向に強く引っ張られることで、毛根に負担がかかり、その部分の髪が抜けやすくなったり、生えにくくなったりする脱毛症です。AGA(男性型脱毛症)のようにホルモンが原因ではなく、純粋に物理的なダメージが蓄積することによって引き起こされます。分け目は、その典型的な例です。毎日、何年もの間、同じ場所で髪を左右に分けるという行為は、その境界線にある毛根に、常に一定方向への「引っ張る力」をかけ続けていることになります。この継続的な負担によって、分け目部分の毛根が弱り、血行が悪化し、髪が細くなったり、抜け落ちたりして、分け目がどんどん広がって見えてしまうのです。このタイプの薄毛は、きつく髪を結ぶポニーテールで生え際が後退するのと同じメカニズムです。もし、あなたの前髪の薄毛が、分け目に沿って線状に目立つ、あるいは、分け目部分だけが特に地肌が透けて見える、といった特徴があるなら、この牽引性脱毛症の可能性を疑ってみるべきです。しかし、希望もあります。牽引性脱毛症は、原因が物理的な負担とはっきりしているため、その原因を取り除いてあげれば、症状の改善が期待できるのです。対策は非常にシンプルです。まず、定期的に「分け目を変える」こと。右分けにしていたら左分けに、あるいはセンターパートにしてみるなど、数週間から1ヶ月ごとに分け目の位置を変えるだけで、特定の毛根への負担を分散させることができます。また、分け目をきっちり作らず、ジグザグにぼかしたり、前髪をおろすスタイルに変えたりするのも有効です。頭皮マッサージで分け目部分の血行を促進してあげるのも良いでしょう。日々の小さな習慣の見直しが、気になる分け目薄毛を改善する大きな一歩となります。