デスクワークで一日中パソコンと向き合い、休憩時間や通勤中はスマートフォンを眺める。そんな現代人にとって、切っても切り離せないのが「眼精疲労」です。そして、この目の疲れが、実は側頭部の薄毛と深く、そして直接的に関係していることをご存知でしょうか。目と側頭部の髪、一見すると無関係に思えるかもしれませんが、その間には「筋肉のコリ」という明確な繋がりが存在します。物を見る時、私たちの目は、水晶体の厚みを変える「毛様体筋」という筋肉を使っています。パソコンやスマホの画面のように、近くのものを長時間見続けると、この毛様体筋はずっと緊張した状態になり、疲労して凝り固まってしまいます。これが眼精疲労の正体です。そして、問題はここからです。目の周りの筋肉が凝り固まると、その影響は周囲の筋肉へと波及していきます。特に、こめかみから耳の上にかけて広がる大きな筋肉である「側頭筋」は、目の疲れの影響を直接的に受けやすい部位です。眼精疲労は、側頭筋の持続的な緊張を招き、ガチガチに凝り固まらせてしまうのです。筋肉が硬く凝り固まると、その中を通っている毛細血管は圧迫され、血流が著しく悪化します。髪の毛は、毛根にある毛母細胞が、血液から栄養を受け取って成長します。側頭部の血行が悪化すれば、髪の成長に必要な栄養素が毛根まで十分に届かなくなり、その結果、髪は細く弱々しくなり、成長しきれずに抜け落ちてしまいます。これが、眼精疲労が側頭部の薄毛を引き起こすメカニズムです。さらに、眼精疲労は首や肩のコリも誘発し、頭部全体への血流を滞らせるため、薄毛をさらに助長します。もし、あなたが側頭部の薄毛に悩んでいて、かつ日常的に目の疲れを感じているのであれば、その薄毛は髪の問題ではなく、「体のコリ」の問題かもしれません。目を休ませ、頭皮をマッサージし、筋肉の緊張をほぐしてあげることが、何よりの薄毛対策となるのです。