現代病とも言える「スマホ首」。うつむき加減で長時間スマートフォンの画面を見続けることで、首の骨の自然なカーブが失われ、ストレートネックになってしまう症状です。肩こりや頭痛の原因として知られていますが、実はこのスマホ首が、つむじ周辺の薄毛(後頭部の脱毛)と密接に関係していることをご存知でしょうか。東洋医学でも西洋医学でも、髪の健康と血流は切っても切れない関係にあるとされていますが、スマホ首はその血流のパイプラインを物理的に締め付けてしまう、まさに髪にとってのサイレントキラーなのです。頭皮への栄養供給ルートを想像してみてください。心臓から送り出された血液は、首の太い血管を通って頭部へと運ばれます。しかし、成人の頭の重さは約5キログラムもあり、ボーリングの球ほどの重さがあります。うつむく姿勢を続けると、この重さを支えるために首の後ろの筋肉が常に緊張状態になり、カチカチに凝り固まってしまいます。すると、筋肉の中を通る血管が圧迫され、ダムが堰き止められたように血流が悪化します。頭部の中でも特に頭頂部(つむじ周辺)は、心臓から最も高い位置にあり、重力に逆らって血液を送らなければならない場所です。さらに、末梢血管が細かく張り巡らされているため、ただでさえ血流が届きにくいエリアなのです。そこに首の凝りによる血行不良が加われば、毛根は慢性的な栄養失調状態に陥ります。栄養が届かなくなった毛根はどうなるでしょうか。髪を作り出すエネルギーが不足し、ヘアサイクルが乱れます。太く成長するはずだった髪は細く短いまま成長を止め、やがて抜け落ちていきます。これが、AGAの遺伝的要因がない人でも、後頭部のボリュームが減ったり、地肌が透けて見えたりする原因の一つです。また、スマホ首に伴う眼精疲労も問題を深刻化させます。目の使いすぎは、側頭部や後頭部の筋肉を緊張させ、頭皮全体を硬くしてしまいます。硬くなった頭皮は、畑で言えば土が踏み固められた状態です。これでは健康な作物が育たないのと同様に、健康な髪も生えてきません。このリスクを回避するためには、意識的に姿勢を正し、首への負担を減らすことが不可欠です。スマホを見るときは、なるべく目の高さまで持ち上げ、下を向かないようにしましょう。デスクワーク中も、30分に一度は休憩を取り、首をゆっくり回したり、肩を上げ下げしたりして、滞った血流を流すストレッチを行ってください。入浴時に湯船に浸かり、首までしっかり温めることも非常に効果的です。また、頭皮マッサージを行う際は、頭皮だけでなく、首の付け根や耳の後ろなど、血液の通り道をほぐすことを意識すると、より効果が高まります。「たかが姿勢、たかが肩こり」と侮ってはいけません。あなたのそのうつむいた姿勢が、未来の髪を奪っているかもしれないのです。つむじハゲのリスクを減らすためには、高価な育毛剤を買う前に、まず顔を上げ、空を見上げる習慣をつけることから始めましょう。姿勢の改善は、お金をかけずに今すぐできる、最も根本的な薄毛対策の一つなのです。血の巡りを良くし、毛根にたっぷりと栄養を届けてあげましょう。